私は様々な瞑想法を行って来ましたが、ここ数年は下記の瞑想法をずっと実践し続けていますのでご紹介させて頂きます。宝彩有菜さんの「始めよう。瞑想」という本に書かれている瞑想の方法です。この本を読むと、全体的な瞑想の位置づけや、効能などを体系的に勉強することができてとても参考になります。

瞑想は科学である

まずこの本を読んで本当に良かったと感じたのは、タイトルにも書いたとおり、著者である宝彩さんがハッキリと「瞑想は科学です。瞑想は技術です。」と断言している点。

どうしても瞑想は「超能力」とか「宗教」なんかと結びついているような雰囲気があり、軽く引いてしまうところがあった。でもこの本では、そういった心配を明快にぶっ壊してくれる。

たとえば瞑想をする時には「マントラを唱える」とある。「マントラ」と聞くと、「え〜、やっぱり宗教じゃん」と抵抗を感じる方も多いだろうが、マントラについては、以下のような説明がある。

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マントラ自体に何か力があって、それを唱えると何か変化するというものではありません。マントラは瞑想する時に頭の中で唱えるものです。瞑想するときの一種の道具です。「雑念」を際立たせるための一つの工夫です。

例えば、綿アメを作る時に浮遊している綿アメを絡め取るために割り箸を回しますが、マントラはその割り箸のようなものです。浮遊している雑念(綿アメ)をマントラ(割り箸)で絡め取るものだとも言えます。

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もちろん、宗教に根ざしたマントラも世の中にはたくさんある。しかし、私達が瞑想を始めるときに唱えるマントラは、宗教とはまったく関係のない、ただ単なる「記号」として唱えることができるのだ。

本書のスタンスは一貫してこの調子で、瞑想は科学であり、健康や幸福を後押しする行為という位置づけをされている。超科学的なものやスピリチュアル系のものが苦手な方も、これなら取っつきやすいのではないだろうか。

瞑想の方法

1. 静かな場所で周囲を暗くして座る

和室やフローリングの部屋に座布団やクッションを敷き座る。本書では座布団を2枚用意して、一枚を2つ折にして、お尻が乗る部分を高くすると背筋が伸びて良いと推奨している。確かにその形であぐらをかいて座ると腰が高くなり、放っておいても背筋が伸びる。

椅子に座って行っても良いとのことで、私は最近は椅子に座ってやっている。耳栓なども活用して余計なノイズが入らないようにするのもイイかも知れないですね。

2. 時間は15分

瞑想は「何となくする」のではなく、「今から瞑想をするぞ」と決め、時間を測ってやると良い。瞑想は集中力を使う行為なので、15分が限度、と著者は説明している。

3. 腹式呼吸でゆっくり呼吸しつつ、マントラを唱える

眼を閉じ深呼吸を数回したら、腹式呼吸でゆっくり呼吸をしつつ、マントラを唱える。著者が勧めているのは、「Mマントラ」という、どの宗教とも関係のない中立的かつ無意味な言葉の羅列である。息を吸う時に「オーン・ナーム」と唱え、息を吐くときに「スバーハー」と唱える。

瞑想で一番大切なことは、「何も考えないこと」なのだが、座ってじっと眼を閉じていると、次々と雑念が浮かんできてしまい、止められなくなることがある。だが、人間不思議なもので、マントラを唱えながら色々なことを考えることは難しい。そして雑念が湧いている時には、マントラが無意識のうちに止まっていたりする。

「呼吸だけに意識を集中する」という手法を読んだことがあるが、それをさらに簡単にしてくれるのがマントラだ。マントラだけに意識を集中することで、余計なことを考えなくなる。

4. 雑念を「棚上げ」して頭の中を空っぽにする

瞑想の目的は頭を空っぽにすることだ。ところがこれが意外と難しい。マントラは退屈なものだ。意味がない言葉の羅列で、これを繰り返していると脳はすぐに退屈してくる。退屈すると、お金の心配、仕事の懸案事項、次の週末の予定などなど、考えるべきことがどんどん頭の中に浮かんできてしまう。それらが浮かんできたら、一つずつ「今は瞑想中だから考えるのを止めよう」と「棚上げ」し、マントラに戻るのだ。

マントラに戻るとまた別の懸案事項が浮かんでくるので、それも「棚上げ」する。雑念の「棚上げ」を繰り返してマントラを唱えていると、やがて懸案事項が尽きて、頭の中がシーンと静かになってくる。この「棚上げ作業」を行っているのが第1段階の「実践瞑想」、そして片づけが終わると、さらに瞑想は深いところへとおりて行く。

普段は思い出すことがない遠い昔の記憶が蘇ってきたり、快感を感じたりする「境地瞑想」に入る。上手な瞑想のコツは、次々浮かぶ雑念を手際よく「棚上げ」し、雑念がない状態に手早く入ることだ。雑念が全部片づいて頭の中が「シーン」とした状態と、そこから古い記憶やイメージなどがふわりふわりと湧いてくる感覚は、とても心地が良いものだ。

瞑想の効能

瞑想をすると、生活のなかでさまざまな変化が起こり始める。そのいずれもが、瞑想による「脳の整理」による効果である。脳はいつも働いていて、頭の中にはさまざまなデータがぎっしり雑多に詰まっている。瞑想をすることで、それらの雑多なデータを一旦キレイにすることができる。つまり、瞑想は脳のデフラグをしているようなものなのだ。

★悩みが減る

悩みとは頭に余裕がなくなったときに出てくるものだから、常に頭の中をクリアにしておけば、あらゆる問題に余裕を持って対処することができるようになる。

★ストレスに強くなる

頭に余裕があれば、危機的な状況が訪れてもその場で対処できるという「自信」がつくので、ストレスを感じる機会が減る。

★優しくなる

相手の気持ちを察する余裕があれば、その人の状況を把握して、その人のためを考えることができる。

★嬉しくなる

そもそも人間は、この地球に誕生して生きているというそれだけで嬉しいという根源的な感情を持っているそうだ。瞑想をすると、この「嬉しい」を邪魔する気分の元を減らすことができるという。

★よく笑う朗らかな性格になる

瞑想が上達すると、自分が抱いている感情を客観的に見ることができるようになるので、どんな深刻なことも、それは単に頭が深刻だと判断しているだけのことだと分けて考えることができる。

★クヨクヨしなくなる

後悔とは「変えられない過去をなんとかしたい」という堂々巡りのことだが、瞑想はどんな思考も追わない練習をするので、後悔をしなくなる。

★イライラしなくなる

イライラするのは、小さな怒りや恐れ、不満や心配が原因だが、自分の心を客観的にとらえられるようになれば、イライラする必要がないと思えるようになる。

★健康になる

瞑想によって心が朗らかになれば、不要な緊張や過度の我慢、身体の酷使などがなくなり、免疫力も上がるので、自然に健康になる。

★熟睡できる

データ整理作業を行うレム睡眠は2時間おきに15分しか得られないという。その作業を日中に瞑想でやっておいてしまえば、そのぶん熟睡できる。

瞑想はいい事づくし

瞑想が上達すると、幼い頃に後天的にプログラミングされた「間違った生きる方針」を変更したり、理解力や集中力、記憶力、発想力、企画力などさまざまな機能が格段に向上したり、幼児期の記憶をリアルに再現できたりと、その効果はまだまだたくさんある。

その上、自分の心を客観的にとらえられるようになるので、人生観にも良い影響が与えられる。

自分の思考が動く様子を観察する「観照」や、欲望と愛の話などもとてもわかりやすく感銘を受けたのだが、そちらも内容が深いので次の機会に書きたいと思う。具体的な瞑想のやり方は本書に詳しく書かれているので、興味を持った人はぜひ読んでみて欲しい。

やっぱり継続が大事!

とまあ、色々とまとめてみましたが、まずは力まずに継続して、実際に体験してみないことには始まりませんよね。やはり実感としては「継続することで効果が大きくなる。」ということを感じています。

脳が前回瞑想した「感覚」を覚えているうちに、再度経験することで積み上げの効果が効いて来るわけです。コレは仕事もスポーツも勉強も、何をやるにしても同じですよね。

では今日も、一日を面白くするために、ゆっくり、まったりと瞑想していきましょう!

●参考図書

始めよう。瞑想~15分でできるココロとアタマのストレッチ~
作者: 宝彩有菜
出版社/メーカー: 光文社

 

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楽しもう。瞑想~心に青空が広がる~
作者: 宝彩有菜
出版社/メーカー: 光文社