●瞑想を3時間続けた場合

アメリカの研究によると瞑想を通産3時間 (毎日10分ずつ行って、18日で合計3時間) 合計3時間続けると 自制心が上がる と言う結果が出ました。自制心・・・良くないと判っている欲望を抑えられるという事です。

たとえば・・・ダイエット中のおやつや、止めると決めたタバコ、無益なウワサ話など自分を貶めるものを抑制できる力がつく。

●瞑想を11時間続けた場合

毎日10分ずつでも合計11時間続けると脳に変化があらわれます。「集中力が続く」「気が散るものを無視できる」と言った能力が上がります。勉強や仕事や趣味に打ち込みたいときの効率があがるのはイイですね。

●瞑想を8週間毎日続けた場合

瞑想を8週間毎日続けると脳の中の「灰白質」と言う物質が増えることが別の研究で判っています。瞑想したら脳の内容まで変わるとは、ちょっと驚きですね。

灰白質は「自己認識」をつかさどる箇所です。自己認識の度合いが上がると、冷静な判断ができる様になりむやみに怒ったり、落ち込んだりしてストレスを受けることが少なくなり状況判断が的確にできるようになるので物事や決断において失敗が減ったり、状況を客観的に見つめられるようになるので、まわりに振り回されることも少なくなり、自信が出てきます。

自信が出てくるとさらにストレスへの耐性が上がり、身体の免疫機能まで上がります。良いことしか無いですね。

●瞑想を習慣化すると脳が衰えにくくなる

瞑想を習慣化していると脳の神経細胞が集合する「灰白質」が加齢によって小さくなるスピードを減少させて行く事が分かりました。この実証実験はカリフォルニア大学の研究グループがフロンティア・イン・サイコロジーにて2015年の1月21日に掲載しています。

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瞑想を行う人は、脳の白質に萎縮が少ないという研究結果が出ている。瞑想を長年行っている人とそうでない人とを比較して、年齢と脳の中で神経細胞の集まる灰白質との関連を調査した。各グループの構成は男性28人、女性22人。年齢は24歳~77歳。瞑想している人については、瞑想を始めてから4年~46年、平均は20年。参加者の脳は、高解像度MRIスキャンを行った。長い間瞑想を行ってきた50人と、瞑想をしていない同じ年齢分布と男女比の50人について、年齢と脳の灰白質との関係を調査。

研究グループの調査前の予想は、先行研究で瞑想と関連があると思われた部位のいくつかにはっきりとした影響が現れるだろうというものだったが、実際には、脳全体を包み込むような広範囲の影響だった。

瞑想をしている人もそうでない人も、年齢が上がるにつれて脳が萎縮していた。加齢とともに脳の組織が失われていることを示す。その度合いと広がりが瞑想をしていない人の方がはるかに大きかった。瞑想をしている人たちの脳では灰白質の大部分がよく維持されていた。

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●瞑想による認知柔軟性の向上について

「前頭前野」が活性化することによって、成績にも良い影響が出てきます。なぜなら瞑想によって、ワーキングメモリと海馬の「灰白質」の密度が上昇するからです。1日30分弱、8週間の瞑想をした被験者の脳の画像を見てみると、学習・記憶・自己認識の中枢となる海馬部分で灰白質の密度が増加していました。米国の大学院進学適性試験では、瞑想をしたグループは、そうでないグループより文章力読解テストが高得点になりました。

なぜこのような事が起こるかというと、脳には「トレーニングによって変化する」「鍛えた部分が強くなる」という「可塑性(かそせい)」があるからです。1990年代まで、脳は基本的な構造が固定され、神経経路の接続は一生涯変わらない、変わるとすれば、脳の退化だけだと考えられていました。しかし現代はfMRI技術の進歩などによって、脳の神経経路は生きている限り発達し続ける事が知られるようになっています。

例えば2009年にロンドンのタクシー運転手を対象に行われた実験では、最難関の資格である「ブラック・キャッブ」に合格した運転手の脳には、ある共通の特徴がありました。それは「海馬の灰白質(記憶と空間認識に関する部位)が、人よりはるかに厚い」ことです。

またヴァイオリン奏者の場合、弦をネックに押し付ける動作に使われる左手の運動機能に関する部位が、一般人よりかなり発達しています。つまりこれらは「脳のその部分を使い続けることによって、その回路が強化された」成果です。

よりよく生きるために、私たちは「どんな感情を、何を、自分の中で成長させたいのか」敏感に感じる必要があります。集中の回路を鍛えれば集中力が身に付き、怒りの回路を頻繁に使えば、より怒りっぽくなります。良くも悪くも、脳のパターンを作るのは自分自身なのです。

瞑想は、脳の回路をより理性的に、かつ平穏で愛に満ちたものにするのに最適なプラクティスです。心理面だけでなく、免疫力の向上に伴う様々な身体疾患の改善の報告も上がっています。無理をしない程度に、瞑想を日常に取り入れてみてはいかがでしょうか。

参考文献
『脳はいかに治療をもたらすか 神経可塑性の最前線』ノーマン・ドイジ 紀伊国屋書店
『マインドフルネスストレス低減法』J・カバットジン 北大路書房